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――主人公の優をはじめ人物造形とかキャラクター設定も『スプリガン』の大きな魅力だと思うのですが、ああしたキャラクターはどのように生まれていったんですか?
- たかしげ
- 基本は自分のほうで考えましたけど、キャラの肉付けは皆川さんがやってくれました。
- 皆川
- 僕は漫画のキャラクターの作り方もよくわかっていなかったので、自分の好きな漫画のキャラクターを思い浮かべながら描いていましたね。望月三起也先生が大好きなんですけど、望月作品に出てくるキャラクターみたいなかっこいいキャラを描こうと思って描いていたら、そしたらいつの間にかキャラクターができていった。
- たかしげ
- 自分も望月三起也というイメージはありました。高校生とかがヒーローになるっていうのも望月先生はやっていたので。
- 皆川
- それでいろいろなキャラクターがどんどんできていったら、今度は「こういうキャラクターが欲しいよね」というのも出てきて。そうやってどんどん増えていきましたね。
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――とくに思い入れのあるキャラクターっていうと誰になりますか?
- たかしげ
- 当時の会話ですけど、「帰らずの森篇」で暁巌というキャラクターを出したんですけど、あれは意外と適当だったんですよ、こっちとしては。こういうタイプのこういう位置づけのキャラクターがいないと成り立たないよなっていうことで入れたんだけど、上がってきた原稿を見たらいいキャラクターになっていて。
- 皆川
- キャラクターって物語の中でどんどん育っていっちゃうんです。そういう意味では僕は染井芳乃とかは大好きでした。唯一いつも出ている女の子として、描いていて楽しかったですね。
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――芳乃も暁も、本当に最後の最後まで重要な役回りを担うキャラクターになりましたよね。
- 皆川
- なんだかんだそうなっちゃいましたよね。そこで消えると思っていたら、思いのほか最後まで残っちゃった。
- たかしげ
- いいキャラだったのでまた出したっていうのもあるんですよ。
- 皆川
- ボー・ブランシェなんて、絶対に使い捨てキャラだと思っていたのに、描いてみたら思いのほか面白かった(笑)漫画ってそうやってできていくんですよ。逆に御神苗優がいちばん描きにくかったですね。描けば描くほどサブキャラが育っていっちゃって、思い入れも強くなっていくので、だんだん御神苗が蔑ろになっていってしまう。「どうするかな」と思って十字架みたいなものを背負わせたりするんだけど、そういうことをやっていると御神苗というキャラがどんどん暗くなっていっちゃって。そこは難しかったですね。
- たかしげ
- でも逆に、周りが極端だから真ん中にいりゃいいやって作り方をしてたところもあって。他の漫画でもよくあるけど、サブキャラの方が個性的だから主人公がキャラ多角形フレームの真ん中にいるっていう。そういう作り方をしていたつもりです。